ペンギン

ペンギンは空を飛ぶ鳥の夢を見るか

 前回、なぜ突然「ZOO~愛をください~」のペンギンのくだりが今になって浮かび上がったかというと、ペンギンについて考えているうちにふと「ペンギンは空を飛ぶ鳥を羨んでも不思議じゃないよなぁ」と考えさせられる一幕に出会ったことをふと思い出したからだ。

 新潟県長岡市にある、寺泊水族博物館。古くて規模は大きくないけれど、楽しめるよう工夫が凝らされていて、長年愛され続けている水族館だ。

 この水族館では、マゼランペンギンが飼育されている。2階の屋外プールにいるのだが、屋内にはペンギン家系図が展示されているため、見比べるとどの子がなんという名前なのかを把握できる。名前がわかるとより親しみやすい。まったり過ごせるいい場所だ。

 ペンギンの餌やりも1日に数回公開されていて、飼育員さんが淡々と魚を与えていく。本当に淡々と、いつものご飯風景を見させてもらっているという感じで進んでいくので、こちらとしても落ち着いてひたすらペンギンの動きに注目できる。

 ペンギンプールからひょいと首を横に向ければ、日本海だ。壁から身を乗り出して釣り竿振ったら魚が釣れるんじゃ、というくらいで、天気が良い日は魚影も見える。壁には「ウミネコ」の説明パネルがあるのだが、そう、このウミネコだ。

 現在ペンギンプールにはネットが張ってあるようだが(公式サイトの3Dビューで見た)当の思い出の2019年にはそういったものがなかった。なので、自由に飛べるものたちはペンギンプールに近寄り放題だった。

 ペンギンの餌やり時間が始まった。魚を放る飼育員さん。その足元にわらわらと集まるペンギンたち。そこへ、岩場の巣の上に降り立つ1羽のウミネコ。
 気づいてないはずがないが、淡々と魚を放る飼育員さん。そのすぐ前でわちゃわちゃ泳ぐペンギンたち。羽ばたいて少し近くに寄るウミネコ。
 それでも追い払うことなく魚を放り続ける飼育員さん。わっと集まり魚を取り合うペンギンたち。我関せずと、プールの端っこでぱちゃぱちゃ泳ぐ1羽のペンギン。…よりも格段に近くに寄ってきてプール際に立つウミネコ。

 どうしてもウミネコに目が行ってしまう。ウミネコは視線をあちこちに巡らせ、いつでも飛び立てるような動きをしている。 バッと羽を広げる。行くのか!? いやタイミングが合わなかったようだ。またしずしずと羽を収めた。しかし漂い続ける緊迫感。

 手前に集まるペンギンたちには十分魚を与えたからか。飼育員さんがプールの中ほどに魚を投げた。その瞬間、ウミネコがプールにダイブ! しっかりと魚を咥え、悠々と飛んでペンギンの届かない巣上に降り立ったのであった。

わらわら集まるペンギンたち
タイミングを狙うウミネコ
ウミネコのダイブ!

 当時は、どうなるのかとハラハラ見守るだけであった。それが今回、「好き」なものを考える中ペンギンについて思いを巡らせている間に、思ったのだ。
 あの時、ペンギンは「自分も飛べたら魚を取り返せるのに」とか思ったりはしなかったのだろうかと。

 嫉妬というのは高度な感情だと思う。しかし「嫉妬 鳥」でぐぐってみると、インコが嫉妬するというようなサイトがバババーッと表示される。

 じゃあペンギンだって嫉妬するかもしれない。 そう考えると、「ペンギンは空を飛びたいだなんて羨んだりしない」というわたしの決めつけは、甚だペンギンに失礼である。

 ペンギンが何を考えているか、わたしにはわからない。

 ただ、わたしはペンギンが好きで、ペンギンの泳ぐ姿はまるで水中を飛ぶが如くの華麗さでとても美しいと思っている。

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